湿布の「冷感」と「温感」、どう使い分ける?薬剤師が解説

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この記事は一般的な情報の提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、ほかの薬を飲んでいる方、症状が続く方は、医師または薬剤師にご相談ください。

目次
  1. 冷感と温感の違いは「感覚」
  2. 痛みを和らげるのは「痛み止めの成分」
  3. 「パップ剤」と「テープ剤」の違いも知っておこう
  4. パップ剤の特徴
  5. テープ剤の特徴
  6. 結局、どっちを選べばいい?
  7. ランナーが気をつけたい3つの注意点
  8. 1. 温感タイプは、走る前後に貼らない
  9. 2. 温感タイプは、入浴の前後に貼らない
  10. 3. ケトプロフェン入りの湿布は「光線過敏症」に注意
  11. 湿布を使う前に、知っておきたいこと
  12. 湿布より、受診を考えたいとき
  13. まとめ
  14. 参考

走ったあとに膝やふくらはぎが痛むとき、湿布を貼る人は多いと思います。でも、ドラッグストアの棚の前で「冷たいのと温かいの、どっちがいいんだろう?」と迷ったことはありませんか?

結論から言うと、冷感と温感の違いは「効き目」ではなく「貼ったときの感覚」です。この記事では、薬剤師の視点から、冷感・温感とパップ剤・テープ剤の違い、そしてランナーだからこそ気をつけたい使い方を解説します。

冷感と温感の違いは「感覚」

湿布がひんやり、またはぽかぽかするのは、それぞれ次のような成分が入っているためです。

冷感タイプ温感タイプ
感覚ひんやりぽかぽか
感覚を生む主な成分l-メントール、dl-カンフル、ハッカ油トウガラシエキス、カプサイシン、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル
皮膚の温度ほとんど変わらないほとんど変わらない

冷感成分の代表はl-メントール(ハッカの成分)で、すーっとした清涼感を生みます。温感成分の代表はトウガラシエキスやカプサイシン(唐辛子の辛み成分)、その仲間のノニル酸ワニリルアミドで、じんわり温かく感じさせます。製品によっては、温感タイプにメントールが一緒に入っていることもあります。

ポイントは、どちらも皮膚の温度そのものを大きく変えるわけではないことです。冷感は「冷たい」と感じる神経を、温感は「温かい」と感じる神経を刺激して、そう感じさせています。

「冷湿布で熱を取る」「温湿布で血行を良くする」というイメージがありますが、薬学の専門家からは、薬理学的には正しくないという指摘もあります(参考)。

痛みを和らげるのは「痛み止めの成分」

湿布で痛みを和らげる中心になるのは、冷感・温感の成分ではなく、湿布に含まれる痛み止めの成分です。

市販の湿布でよく使われているのは、次のような成分です。

  • ロキソプロフェン
  • ジクロフェナク
  • フェルビナク
  • インドメタシン
  • ケトプロフェン

選ぶときは「冷感か温感か」よりも、どんな痛み止めの成分が入っているかをパッケージで確認するのがおすすめです。どれを選べばいいか迷ったら、薬局で「ランニングで膝が痛い」のように、痛む場所と状況を伝えて相談してください。

「パップ剤」と「テープ剤」の違いも知っておこう

湿布には、冷感・温感とは別に、パップ剤とテープ剤という2つのタイプがあります。こちらは使い心地がはっきり違うので、使う場面に合わせて選ぶのがおすすめです。

パップ剤テープ剤
見た目厚みがあり、白っぽい薄く、肌色のものが多い
水分含んでいるほとんど含まない
冷やす効果水分が蒸発するときの気化熱で、貼った場所が冷える気化熱による冷却効果はない
貼り心地しっとりして、やわらかい薄くて伸びがよく、貼っているのが目立ちにくい
はがれやすさ動く場所でははがれやすい粘着力が強く、はがれにくい

パップ剤の特徴

パップ剤は、水分を多く含んだ厚みのある湿布です。水分が蒸発するときの気化熱で、貼った場所をひんやり冷やす効果があります。しっとりとした、やさしい貼り心地も特徴です。

一方で、厚みがあり粘着力は強くないため、膝やひじなどよく動く場所でははがれやすいのが弱点です。

テープ剤の特徴

テープ剤は、薄くて伸びのよい湿布です。水分をほとんど含まないので、気化熱で冷やす効果はありません。

その代わり、粘着力が強く、はがれにくいのが大きな特徴です。体を動かしても浮きにくく、服の下でも目立ちにくいので、日中に貼っておきたいときに向いています。ただし、粘着力が強いぶん、はがすときに肌への負担になったり、かぶれやすかったりすることがあります。

ランナーの使い分けの例

  • 走ったあと、家でゆっくり休むとき:ひんやり感のあるパップ剤
  • 膝など動く場所や、日中に仕事をしながら貼りたいとき:はがれにくいテープ剤
  • かぶれやすい人:はがすときは、ゆっくり皮膚を押さえながら。同じ場所に続けて貼らない

結局、どっちを選べばいい?

選び方の目安

  • 基本は「貼って気持ちいい」と感じる方でOK
  • 痛みを和らげたいなら、痛み止めの成分が入っているかを確認する
  • 冷やしたいならパップ剤、はがれにくさ重視ならテープ剤
  • 肌が弱い人は、刺激の少ないタイプや、冷感・温感の成分が入っていないタイプも選択肢

感覚が違うだけなので、好みで選んで大丈夫です。気持ちいいと感じることも、つらいときの安心感につながります。

ただし、ランナーには特に気をつけたい使い方の注意点があります。次で紹介します。

ランナーが気をつけたい3つの注意点

1. 温感タイプは、走る前後に貼らない

温感タイプを貼ったあとに汗をかくと、ヒリヒリした強い刺激を感じることがあります。そのため、製品の説明書には「汗をかきそうな作業やスポーツを行う前には使用しない」と書かれているものがあります(参考:温感プラスターの添付文書)。

走った直後も、体は温まっていて汗が出続けています。

温感タイプとランニング

  • 走る前には貼らない
  • 走った直後にも貼らない。汗が引いて体が落ち着いてから
  • 貼る前に、汗はしっかりふき取る

2. 温感タイプは、入浴の前後に貼らない

温感タイプを貼ったまま、またははがした直後にお風呂に入ると、強い刺激を感じることがあります。お風呂上がりで体が温まっているときに貼るのも同じです。

製品によって違いますが、温感タイプの説明書には、たとえば次のように書かれています。

温感タイプとお風呂

  • 入浴の1時間以上前にはがす
  • 入浴後は30分くらいたってから貼る
  • 貼った場所を、こたつや電気毛布で温めない

走ったあとにお風呂でゆっくり温まる人は多いと思います。温感タイプを使うなら、「走る→汗をふく→お風呂→30分休む→貼る」の順番を意識しましょう。

3. ケトプロフェン入りの湿布は「光線過敏症」に注意

痛み止めの成分のひとつケトプロフェンが入った湿布は、貼った場所に紫外線が当たると、光線過敏症を起こすことがあります。強いかぶれ、赤み、かゆみ、水ぶくれなどが出て、全身に広がる重い症状になることもあります。

ケトプロフェンが入った湿布には、たとえば次のようなものがあります。

区分商品名の例
病院・クリニックで処方される薬モーラステープ、モーラスパップ、ケトプロフェンテープ「〇〇」(ジェネリック医薬品)
市販薬オムニードケトプロフェンパップ

「整形外科で処方された湿布を、余ったから使っている」という人は特に注意してください。袋や説明書に「ケトプロフェン」と書かれていないか、確認しましょう。

注意したいのは、はがしたあとも日光を避ける必要があることです。症状は使用後数日から数か月たって現れることもあり、はがしたあとも少なくとも4週間は、貼っていた場所に紫外線を当てないよう注意が呼びかけられています(参考:PMDA 医薬品・医療機器等安全性情報 No.276)。

屋外を走るランナーは特に注意

  • 天気に関係なく、くもりの日でも貼った場所を日光に当てない
  • 走るときは、タイツや長袖などで貼った場所を覆う
  • 白い服や薄い生地は紫外線を通しやすいので、色が濃く、目の詰まった生地がおすすめ
  • はがしたあとも、少なくとも4週間は同じように注意する
  • 日焼け止めを使う人は、成分に「オクトクリレン」が入っていないか確認する(ケトプロフェンと一緒に使わないよう注意されています)

膝やふくらはぎに貼って、短パンで外を走る。ランナーにありがちな使い方ですが、ケトプロフェン入りの湿布ではとても危険です。赤みやかゆみなどが出たら、すぐに使うのをやめて、貼った場所を日光から守り、医師や薬剤師に相談してください。

湿布を使う前に、知っておきたいこと

  • ぜんそくがある人:痛み止めの成分が入った湿布の中には、ぜんそくのある人は使えない製品があります。使う前に必ず薬剤師に相談してください
  • 妊娠中・妊娠の可能性がある人:使えない製品があります。自己判断で使わず、医師や薬剤師に相談してください
  • 使う量と回数:1日に使える枚数や回数は、製品ごとに決まっています。パッケージの説明を守りましょう
  • かぶれたら:赤み、かゆみ、発疹が出たら使うのをやめて、医師や薬剤師に相談してください

湿布より、受診を考えたいとき

湿布はあくまで、つらい痛みを一時的に和らげるためのものです。次のようなときは、湿布でがまんせず、整形外科などを受診しましょう。

受診の目安

  • 強い腫れや熱がある
  • 歩けないほど痛い、体重をかけられない
  • 数日〜1週間ほど湿布を使っても良くならない
  • 走っていないときもズキズキ痛む
  • 転んだ、ひねったなど、はっきりしたケガのあとから痛む

痛みは、体からの大事なサインです。湿布で痛みを感じにくくして走り続けると、ケガを悪化させてしまうこともあります。

まとめ

  • 冷感と温感の違いは「効き目」ではなく「感覚」。好みで選んでOK
  • 痛みを和らげるのは「痛み止めの成分」。パッケージで成分を確認する
  • パップ剤は気化熱でひんやり、テープ剤ははがれにくい。場面で使い分ける
  • 温感タイプは、走る前後とお風呂の前後に貼らない
  • ケトプロフェン入りは光線過敏症に注意。はがしたあとも4週間は日光を避ける
  • 良くならない痛みは、がまんせず受診を

湿布と上手に付き合って、健康的に、長くランニングを続けていきましょう。

参考

#湿布#痛み#セルフケア#市販薬